【飲食店】 アルバイトに働き方・志を求めると破綻する~求める人材と数の問題~



スポンサーリンク

飲食店において、職場の雰囲気を悪くしている原因、または慢性的な人手不足に陥っている原因は色々あるますが、アルバイトに求める働き方・志と、数の問題があります。これについて少し記していこうと思います。他の人手不足の原因も合わせてどうぞ。


www.ikashiya.com


f:id:ikashiya:20161015221940j:plain



アルバイトにどこまで求めるか


店側とにって、どのようなアルバイトが理想か。一言で言えば「都合の良い人材」なわけですが、具体的には次の項目が挙げられます。


・真面目に働く
・効率よく仕事が出来る
・ミスなく仕事が出来る
・自分で考えて仕事が出来る
・シフトの融通が利く
・私情より店の都合や利益を優先する
・指示に従う
・文句を言わない


当たり前ですよね。店の目的は、基本的には利益ですから、条件にぴたりと当てはまる「都合の良い人材」を確保出来るのが理想です。


ですが実際に求人をかけると、理想とのズレが生じます。厳密なテストをするわけではなく、面接にて適性と条件を見て採用するため、思っていたより仕事ができない、条件があわないことが往々にして起こり得ます。このズレに躍起になってしまうと、いつまでたっても求人をかけ続けなければならないことが想像に難くないため、アルバイトにどこまで求めるかは、店側にとって悩みどころです。


f:id:ikashiya:20161015221958j:plain


求める人材と数の問題


実際に上記のような「都合の良い人材」は、アルバイトをしたいと思っている人のうち、どれくらいいるかというと・・・あまりいません。全て満たしていなくとも、多くのお店が妥協できるラインはありますが、お店が求める人材の数と、妥協ラインを超えている人材の数は、残念ながら合致しません


前項のように、全ての店で「店にとって融通が利く人・仕事ができる人」を求めるのは当然ですが、対してアルバイト側でこれを満たす人は圧倒的に不足しています


なぜかというと、アルバイトの働き方・働く理由は多様を極めるからです。店側と同様に、アルバイトが求めるのは「都合の良い店」であることを忘れてはなりません。他にやりたいことがあって、下積み期間を凌ぐためのアルバイトの場合もあれば、何かを買いたい、お金が必要だという場合もあります。料理や接客の向上が目的であっても、大抵の場合その店でなくてはいけない理由はありません。また生計を立てるためであっても、正社員に比べて退職のハードルは著しく低く、他のアルバイトを探すことは容易です。つまり働く理由が店の利益と乖離しているため、店にとっての「都合の良い人材」は、あまりいません。


とはいっても、店側としては「仕事の出来ない人・融通が利かない人」は採用したくありません。ではどうすればよいのでしょうか。その前に、この問題の実態について少し記します。


f:id:ikashiya:20161015222009j:plain


厄介なバイトリーダー


アルバイトの雇用に関して何らかの改善をしようと経営陣が行動を起こした際、問題の所在が社員にあると、比較的スムーズに解決できます。(問題を解決したからといって、プラスに転じるとは限らない。数値が上がってもまだマイナスであることは多いが・・・)社員として雇用している以上、経営陣と社員の関係性は大変わかりやすくなっているからです。頭下げながら睨んでる可能性は大いにありますが(笑)。


実際に現場を見て改善しようと思った時に、厄介だと感じるのは、社員以外の人物が働き方や志について持論を有して、場を仕切っている場合です。


傾向としては「20代後半~40代で、長くいるバイトリーダーか元正社員として働いていた経験がある人」に多く見られます。


この場合、本人は自分の正当性を確信しきっていて、持論についても「求める人材と数の問題を前提条件にしない場合、正しい」ことが多いため、対処が難しくなります。


この手の人物は、「お金をもらって働いているかぎり、店の都合を優先し、真摯に働くのは当然である」と考えており、良く口にするのは「あいつは仕事を舐めている」という旨の言葉です。仕事に対するスタンスは様々ですが、一般的に社会の共通見解でもあると思いますし、当然店側にとって取ってほしいスタンスです。ですが事実として前述の「求める人材と数の問題」があり、これに目を瞑って理想を求め続けると、より一層の不利益を被ります。


バイトリーダーの立場から働き方・志を押し付けてしまうと、アルバイト側はいくらでも選ぶことができるため、店に長く留まることが無くなります。認識のすれ違いで雰囲気も悪くなりやすく、人手不足に陥ったり、全体のパフォーマンスが悪くなります。


アルバイトの雇用に問題を抱えている飲食店では、いわゆる「お局様」や「古だぬき」と呼ばれる、働き方・志に持論を有している人物がいるパターンがいくらか見受けられます。



問題の解決にはどうすればよいか


ではどうすればよいか。まず「求める人材と数の問題」の事実を受け止めることです。それから良い人材の確保に努めながらも、妥協ラインを下げても十分に機能するシステムを構築していくことです。


ある店が良い人材をずらりと並べているならば、それは運が良かったということです。実際は意図的に確保している店もありますが、多くの店がそれを出来る条件を満たしていません。(名声や一意性など)ですので、ある程度は面接でふるいにかけますが、店側にとっての理想の働き方・志を押し付けるのは避けたほうが賢明です。改善を求めたり、示唆したりはしますが、同時に妥協ラインを下げても店として十分にパフォーマンスが発揮できるようなシステムを作っていくようにしなければ、その店に先はないでしょう。


具体的なシステムの改善点としては、次のようなものが挙げられます。


・連携の見直し
・ポジション・個人の仕事範囲の見直し
・既存のルーチンワーク・決め事の見直し
・個々の作業工程の見直し


例えば「ホールスタッフがトレーにグラスをのせてやってきて、グラスを1つずつ洗い場の近くに下ろして、それを洗い場スタッフが洗浄にかける」という連携において、トレーのまま洗い場の近くに置くようにすると、ホールスタッフがグラスを下ろす仕事が省略できます。このように簡略化できる点が、大抵の場合かなり残っています。現場では先人に習って仕事をするので、第3者が見たら気付きそうなものでも、気付きにくい側面があります。


連携に被りはないか。ポジションや個人の仕事範囲は効率よくなるように改善できないか。決め事になっている項目に無駄はないか。個々の作業工程に簡略化できる点や改善できる点はないか。全てに置いて言えるのは、「互換的な発想はないか」です。


f:id:ikashiya:20161015222115j:plain


さいごに


「都合の良い人材」を求めるのは当然の理ですが、条件に合致するアルバイトの人口は、店の数に対して全く足りていません。運良く人材が確保できる場合もありますが、長い目で見ると事実を踏まえた店のシステム作りは重要です。しかもシステムの改善は「重い腰をあげる必要がある」以外のデメリットはありません。アルバイトの働き方・志について悩んでいる飲食店は、是非一考してみてはいかがでしょうか。店とアルバイトの間での、Win-Winを忘れずに。


こちらもご参考に。


www.ikashiya.com

www.ikashiya.com