【飲食コラム】インスタ映えのメニューだけ作ってもあまり意味がない



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こんにちは、嵜山拓史(さきやまひろし)(@sakihirocl)です。久しぶりに飲食店のコラムちっくなものを。話題は「飲食店とインスタ映え」です。

1年前くらいの同じようなツイートをしていたのですが、改めてまとめてみます。


料理だけインスタ映えでも…


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僕は主にレシピ開発のお仕事をしていまして、飲食店さんのメニューの開発・監修もしています。その要望でダントツに多いのが「インスタ映えする料理のレシピを作って欲しい」というもの。2017年に「インスタ映え」が流行語大賞を取ってからそろそろ1年になる2018年の後期ですが、いまだに根強いニーズがあります。

まぁそもそも食への関心が高まっている近年ですから、インスタとか関係なく味の他に付加価値をつけたい=目を引くお料理を出したいのは自然な流れではあります。


レシピ開発の流れ自体は問題なく、意図を汲み取りインスタ映えしそうなレシピを提供してめでたくおしまいなわけですが、その先にあるのが今回の主題。料理の見た目がいくら良くっても、パフォーマンス性にあふれていても、SNSによる宣伝効果が爆発的に出るかというとそうではないのです。

インスタ映えを狙うのであれば、

  1. お料理が写真映えする
  2. 写真が映えるように撮れる環境がある
  3. 撮り手に映える写真を撮るメソッドがある

ここまで担保しなければ、SNSによる宣伝効果はかなり不確定になり十分な効果が期待出来ないのです。


もちろんうまくインフルエンサーに乗っかれたり、他の要素が霞むくらいのパフォーマンス性があればこれに当てはまらない場合もあります。

だけどインスタ映えでのSNSマーケティングは大抵の場合、発信者は素人です。素人でも「美味しそうな料理を美味しそうに見えるように撮影してもらう」ような導線を整備しないと、小手先で見栄えのいい料理を提供したところで、思ってような拡散効果は出ないのです。


料理以外の意識すべきこと

照明の位置は重要

料理が美味しそうに見えるのに重要な要素の1つが照明です。お店を作るにあたって照明の種類にこだわる方…というより飲食店でしたらってことで大体すすめられるので「美味しそうに見える照明の種類」は多くのお店がクリア出来ていると思います。でも大事なのは照明の位置。たとえば同じ料理を光の方向を変えて撮影してみましょう。


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左が正面からの光=順光で撮影したもの、右が後ろからの光=逆光で撮影したものです。どちらが美味しそうに、映えてるように見えるかというと、右ですよね。料理写真の基本原則は「逆光または半逆光で撮影する」ということです。


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ストロボ光ですが半逆光で撮ると上のようになります。


お客さんは座る位置から撮影するので、この時の照明の光・自然光が順光になっていると、もうインスタ映え効果は半減します。

この時代、料理が美味しそうに見えるかという照明の種類だけじゃなく、料理を美味しそうに撮れるかという照明の位置がすごく重要なんです。


自然光をうまく取り入れた席配置も重要


あと照明が暗いお店!雰囲気を良くするのに照明を落とすのは分かりますが、お客さんが撮影するカメラはスマホのカメラ=暗い場所での撮影にめっぽう弱いカメラです。照明が暗いとノイズのりまくりでのっぺりとした写真or手ブレした写真になってしまいます。全体的に薄暗くするより、メリハリをつけるほうが写真を撮るには向いていますし、写真の雰囲気もよくなります。


閑話休題「薄暗いほうが女の子が可愛く見える」ってたまに見るのですが、あれ嘘だと思うんです。夜でもちゃんと明るいお店のほうが、可愛く見えませんか?

とくに薄暗い中でテーブルの真上に1つだけある照明、あれ向かいの人に対して斜め上からの順光になるので、雰囲気良くみえない上に目が影になるので最悪だと思うんです。居酒屋に多いですよね。料理だけじゃなく、一緒に食事する人もきれいに見える照明っていうのも大事だと思います。

「女の子が可愛く見える居酒屋」みたいなコンセプトのお店で売り出したら話題になるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。


撮影スポットを案内する/背景・小物を用意する

既存の店舗では、もう照明の位置ってなかなか変えられるものじゃないですよね。なので「撮影スポットを案内する」のがすぐに出来る施策です。

座った場所でパッと取っちゃうと順光になる照明位置の場合、半逆光など雰囲気よく移る場所に料理を置いてもらう、撮影者に移動してもらうように案内して、いい写真を撮ってもらうという案です。


「この位置に置くと美味しそうに撮れるよ!」と印をつけたりポップや差し込みを用意して、料理をその場所に置いてもらいます。同時にそのスポットに背景や小物を用意するとより効果的ですね。


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例えばこの写真だと、後ろにコーヒーミルとコーヒーサーバー、そしてピーナッツを使っているのでピーナッツを置いて撮っています。まぁこの場合はピーナッツが食べられてしまうので飲食店ではダメですけどね(笑)。

単体でお料理を撮るより、背景や見切れにストーリー性のあるものが入っていたり、可愛い小物が入っていると雰囲気がよくなります。今のiPhoneですとポートレートモードなどで一眼レフのように背景をぼかすことができるので、立体感も出てくれます。


そしてお店の名前や情報などを書いたおしゃれなポップなどを作って小物の1つにすることで、投稿全体に目を通してもらわなくても、写真だけでお店の情報を伝えることもできます。綺麗な写真を撮ってもらいつつ、マーケティングに有用な情報を盛り込むことも出来るのです。

幸いスマホのカメラの画角というのはある程度似通っていますので、どのお客さんにも適用できる背景作りができます。


あと動きをつける要素を残しておくのもテクニックの1つです。


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完成された料理じゃなく、「サーブしてから動作を加えることで完成する料理」ですね。写真にも動きが出ますし、動画でのシェアも狙えます。お皿の上でチーズをかけるとかですね。パフォーマンス性があれば勝手にシェアしてくれますが、上のようにパンケーキにメープルシロップくらいの地味な施策ならもちろん案内必須です。


これもそうですね↓


↑チャンネル登録よろしくぅ(宣伝)(普段は料理動画を投稿してるよ)


「映える料理」は多角的


インスタ映えは単純な料理の見た目だけじゃなく、照明や撮り方など多角的に考えてはじめて成立するとの旨をお送りしました。

「その場でSNSでシェアすると○○円引き!」といったお店が増えていますが、取ってつけたSNSマーケティングではただの値引きになりかねません。SNSの投稿から閲覧者の行動につながるのは、思っているよりハードルが高いと思っています。