【型生地比容積】持ってる型に合わせて食パンのレシピ・生地量を調整する方法、計算方法



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こんにちは、嵜山拓史(さきやまひろし)(@sakihirocl)です。今回は持ってる型に合わせて食パンのレシピ・生地量を調整する方法、型生地比容積の計算方法を例を用いながらやっていこうと思います。

「自分の持ってる型は同じ1.5斤だけど普通より小さいみたい…」「食パンのレシピを参考にするといつも高さがでない…」「1斤のレシピで1.5斤を焼きたい」など人によって色んな悩みがあると思います。

そもそも食パンの型は同じ1斤でもメーカーごとに容積が違うことがほとんどで、これを補正するのが型生地比容積です。簡単にいうと「型の容量に対してどのくらい生地を入れるか」、この比率が分かればどんな型でも同じ比率で生地を入れれば大体同じ感じで焼けるというわけです。


型生地比容積が分かっていないと、例えばレシピ製作者の型が自分の持っている型より小さかった場合、レシピ通り同じ生地量を入れて焼くと高さが出ない食パン、同じ高さになっても型に対して生地量が少ないのでスカスカな焼き上がりに、もしくは同じ高さにするために過発酵になってしまったりします。

例:レシピ製作者の型が1500mlに生地量500gのレシピの場合、自分の持ってる型が1700mlだと型の大きさに対して生地が少なくなってしまう(←これを補正するのが本記事の趣旨)


【型生地比容積】持ってる型に合わせて食パンのレシピ・生地量を調整する方法

手持ちの食パン型の容量をはかる


まず手持ちの型の容量を把握しておきましょう。商品ページに書いてあることもあります。

水を入れてはかる

分からない場合はまず空の状態のはかりにのせて0に合わせ、ぎりぎりまで水を入れて重さをはかると、そのまま容量が分かります(水が漏れる場合はテープなどで防いで漏れないようにするか、口を開いたビニール袋を型に入れ出来るだけ密着させて水を入れてはかるといいです、ビニール袋の方がこぼすリスクを減らせます)

2斤とかで重すぎてはかりが対応していない場合は、ビニール袋の方法で同じように水をぎりぎりまで入れ、ボウルなどに半分あけてはかり、分けて残りをはかって足し算するといいです。

型の寸法から計算する

型の寸法からざっくり計算することも出来ます。

それぞれcm・出来れば内寸で、勾配なしの場合は、

型の長辺×短辺×高さ


勾配ありの場合は、

型の長辺の上底と下底の平均 × 短辺の上底と下底の平均 × 高さ


例えば214(204)X95(88)Xh90mmという表記の型の場合、それぞれ長辺と短辺の平均を出して、

(21.4+20.4)÷2=20.9、(9.5+8.8)÷2=9.15

20.9×9.15×9.0=1721.115

で大体1721mlの容量だと計算できます。実際この型のメーカーによる容量表記は約1720mlです。


型生地比容積の計算方法


型の容積(ml)÷生地量(g)=型生地比容積(ml/g)


さて手持ちの型の容量、つまり容積が分かったところで、比容積の計算です。

例えばレシピに型生地比容積が3.5と書かれていたとして、自分が持っている型が1720mlなら、

1720ml÷生地量(g)=3.5ml/g

となり、計算すると

生地量=1720÷3.5=約491.4g

となり、491.4gの生地を入れて焼くとレシピと同等の条件で焼くことが出来ます。


レシピに型生地比容積が書いていない場合、山食パン・角食パンの目安


型生地比容積はml/gなので、値が大きいほど型に対して生地の量が少なく、値が小さいほど型に対して生地の量が多い状態です。

また同じ形に焼き上げるとして、型生地比容積の値が大きいほどふんわり軽い食感になり、値が小さいほどみっちり重い食感になります。


目安は、↓(自分の目安なので人によって色々意見があります)

山食パン:3.3~3.8前後で、大体3.6くらい
角食パン:3.6~4.1前後で、大体4くらい


山食パンは型より上に飛び出すので生地の量が多め、角食パンは型にきっちりなので生地の量は山食パンに比べて少なめになるというわけです。


レシピに型生地比容積が書いてない場合も多いので、その場合は上記を参考に経験則や自分が目指すパンの食感によって決めるといいです。


ベーカーズパーセントの合計からレシピのそれぞれの材料の量を計算する


生地量が分かったところで、じゃあ具体的に強力粉を何グラム使えばいいの?という計算をしていきます。


先程からの例にのっとり、自分の持ってる型の容量が1720ml・レシピの型生地比容積3.5から生地量491.4gをもとめた、ストレート法の山食パンのレシピが以下だっとします。


・強力粉 300g
・砂糖 24g
・塩 6g
・スキムミルク 6g
・インスタントドライイースト 3g
・水 210g
・バター 24g


それぞれベーカーズパーセントが書いてあれば親切ですが、書いてない場合はまずベーカーズパーセントを計算します。ベーカーズパーセントは粉(小麦粉)を100%としたときの他の材料の比率なので、それぞれ粉の分量で割って100をかけ%を求めます。


・強力粉 300g÷300g=100%
・砂糖 24g÷300g=8%
・塩 6g÷300g=2%
・スキムミルク 6g÷300g=2%
・インスタントドライイースト 3g÷300g=1%
・水 210g÷300g=70%
・バター 24g÷300g=8%


ということで見やすく整理するとベーカーズパーセントは、


・強力粉 100
・砂糖 8
・塩 2
・スキムミルク 2
・インスタントドライイースト 1
・水 70
・バター 8


これを合計すると、100+8+2+2+1+70+8=191。これがベーカーズパーセントの合計になります。

ここから、ベーカーズパーセント1%あたりのグラム数を計算すると、


491.4(g)÷191=2.57277…(g)


となるのですが、実際はこねている間に手やマシンについたり水が蒸発したりして、材料の単純な合算より生地量が減ってしまいます。そのことを加味して、粉の分量をもとめる場合は生地量を多めに設定しておきます。多い分には型に入れる際に生地を減らすだけですし、余った生地は丸パンなどにして焼けば無駄になりません。

減ることを見越して生地量を491.4gより少し多めに、506gと設定します。


506(g)÷191=2.64921…(g)


大体2.65gですね。1%あたりのグラム数が2.65gということで、あとはそれぞれベーカーズパーセントをかけて、


・強力粉 100×2.65g=265g
・砂糖 8×2.65g=21.2g
・塩 2×2.65g=5.3g
・スキムミルク 2×2.65g=5.3g
・インスタントドライイースト 1×2.65g=2.65g
・水 70×2.65g=185.5g
・バター 8×2.65g=21.2g


となり、大体四捨五入して実際の分量は↓となります(切り上げ・切り捨てはそれほど気にせずどっちでもいいです)


・強力粉 265g
・砂糖 21.2g
・塩 5.3g
・スキムミルク 5.3g
・インスタントドライイースト 2.6g
・水 185.5g
・バター 21.2g


この分量で作ればレシピと同じ感じで焼けますよというわけです。

実際はやる必要ないですが確認のため再度計算をしてみると、それぞれの分量を足すと506.1gになります。ここから1720mlの型に506.1gのうち491.4gを入れると、1720÷491.4で型生地比容積が3.5。こんな感じで相互的に計算して、比容積だったり分量だったり生地量だったりともとめることができるというわけです。


計算最小限で現実的な方法


ただレシピをその都度計算するのはかなり面倒なので、現実的な方法としておすすめするのは、粉300g(つまりベーカーズパーセントに×3)など明らかに生地量が足りる計算しやすい量にして、余った生地は丸パンなどにして焼くという方法。

1斤なら300gで仕込めば山食でも全然足りますし、計算機を持ち出さなくてもいいのでおすすめです。


ということで型生地比容積の考え方でした。これが分かると持ってる型に合わせて食パンのレシピを自分用にチューニングすることが出来ます。食パン型が同じ1斤でもメーカーによって違うことからあまり知られていないかもで、うまく作れない原因になってると思います。1つ不安要素を潰すことが出来ますので、ぜひ計算して作るようにしてみてください!